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“本家”の許可得ず「ONO消しゴム」 兵庫・小野市観光協会のパロディー版、販売中止に

こんな報道がありました。

大手文具メーカー、トンボ鉛筆(東京)が製造する「MONO消しゴム」のパロディー版「ONO消しゴム」を、兵庫県小野市観光協会が同社の許可を得ずに作り、イベントでの販売を止められていたことが、3日までに分かった。MONO消しゴムの青白黒のストライプ柄は2017年、色彩の登録商標として日本で初めて認められている
2019年11月4日10時07分神戸新聞NEXT

1.商標権の侵害
販売を差し止められたということは、この場合、商標権侵害の疑いがあったということです。
商標権の侵害とは、正当権原なき第三者が、登録商標と同一又は類似の商標を、その指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をすることをいいます。
商品又は役務についての「類似」とは、登録商標と同一又は類似の商標を使用すると、需要者をして出所の混同を生ずる程その指定商品又は指定役務に近似していることをいいます。
これについては、類似商品・役務審査基準があり、同一の「類似群」に振り分けられている商品又役務同士は、類似していると判断されます。

2.商標の類否判断の要素
商標同士の「類似」は以下の判断基準に基づいて判断されます。

(1) 外観
視覚を通じて認識する外形のことです。
(2) 称呼
取引上自然に認識する音
(3) 観念
取引上自然に想起する意味又は意味合い

この3要素を総合的に比較して、同一又は類似の商品・役務について使用すると、需要者をして出所の混同を生ずる程登録商標に近似している場合、商標同士が類似していると判断されます。

3.称呼について
画像(クリックで拡大されます)のパロディー版「ONO消しゴム」を見ると、最初に発する称呼は「オノ」となります。
それに対し、株式会社トンボ鉛筆の登録商標(色彩のみの商標は除く)の称呼は「モノ」となっています。
同一ではありません。

審査基準において、音質に関する判断要素として、「相違する音の母音を共通にしているか、母音が近似しているか」があります。
例として、ともに同音数の称呼からなり、相違する1音が母音を共通にする場合が挙げられています。
すると、「オノ」と「モノ」はこの例示に該当するので、「ONO」と「MONO」は称呼が類似すると判断されることになると考えられます。
以下、来月に続きます。