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お知らせ

2018-09-04
■ 最近の知財トピックス
−キリンラーメン、ゲームバー、テコンV判決について−

 今回は、最近の3つの知財トピックスについて、簡単に説明します。

1.キリンラーメン改名
今年の6月のトピックスでご説明した「キリンラーメン」の件ですが、新名称が決まりました。
 なお、2018年7月11日に、現在で、「松本 春芳」という個人名により黄色いキリマルのロゴが商標登録出願されております(商願2018-090002)。
 出願に係る商標は
 で、指定商品は30類、菓子、パンなどで、穀物の加工品,食用粉類を含んでいます。
 松本氏と小笠原製粉株式会社の関係は不明ですが、同社の関係者と推測されます。
 「ヘキナン」は、小笠原製粉の所在地である静岡県の碧南市に由来し、商標法3条1項3号(その商品の産地、販売地等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標)に該当する惧れがあります。
 「オガサワラ」は、まさに社名そのものであり、創業者の名字です。
 商標法3条1項4号(ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標)については、名字由来ネットによれば、全国で256位、およそ86,800人とのことですので、該当しない可能性が高いです。
 これを地名と解釈すると、小笠原製粉の所在地は静岡県なので、「小笠原産」という「品質誤認」が生じる惧れがあれば、4条1項16号(商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標)に該当しますが、これもおそらく該当しないと思われます。
 ちなみに、こちらは商標登録されていません。
 この画像が公開されたインスタグラムの日付は、2017年5月12日です。
 ちなみに、「ヘキリンラーメン」は、「KIRIN」に類似するかどうか、微妙なところで、2018年7月17日の中日新聞によれば、「三候補のほかにも「キラリ」「キラリン」「ヘキリン」などの提案もあったが、類似の名称があることから断念した」とのことです。
2.ゲームバー問題
 著作権法22条の2は、「著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。」と規定しています。
 ここで「上映」とは、2条1項17号で、「著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴って映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。」と定義されています。
 「映画の著作物」以外の著作物でも、上映の対象となりますが、特に「映画の著作物」は、2条3項で、「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする」とされています。
 「映画の視覚的効果」とは、映写される影像が動きをもって見えるという効果のことですから、モニター上でその影像が動いているように見せるゲームソフトは、「映画の効果に類似する視覚的効果」をもっているといえます。
 映画の著作物は、「物に固定されている」ことが要件となっていますが、固定される対象である「物」の種類は限定されていません。ですから、固定される対象は映画フィルムや磁気テープのみならず、ROMなどの磁気ディスクであってもよいことになります。
 ゲームソフトは、使用者のコマンド等によって毎回展開が異なるとはいえ、ゲーム操作によってROMに予め固定されたデータ群の中から一定の映像データが抽出され、モニター上に影像として映し出されるわけで、異なる展開とはいえあらかじめゲーム製作者が捜索し設定した範囲内で影像が再現されるのですから、「物に固定されている」著作物であると言えます。
 以上の理由で、ゲームソフトは「映画の著作物」にあたると考えられています。
 従って、ゲームソフトの著作権者の許可なく、モニターを設置し、ゲームバーを利用する顧客にゲームの映像を見せる行為やゲーム音楽を聞かせる行為は、上映権を侵害することになります。
 もう一つ、「頒布権」というものがあります。
 26条2項には、「著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有する。」と規定されています。
 「頒布」は、2条1項19号で、「有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあっては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。」と定義されています。
 すると、ゲームバーが有償で適法に購入したゲームソフトであっても、ゲームバーの利用者にゲームソフトを「貸与」した場合、それが有償であるか無償であるかを問わず、ゲームソフトの頒布権を侵害することになります。
 そして、119条には「著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と刑事罰が定められていますので、ゲームバーの経営者は逮捕されるに至ったのです。
 上映権の侵害になるのは「公に」が要件となります。
 「公衆」に見せる目的で上映する場合に限られます。
 「公衆」とは、不特定または多数の人をいうので、「特定かつ少数」の人に見せるために上映をしても、上映権侵害にはなりません。
 自宅で友人とゲーム大会を開催する程度でしたら、「特定かつ少数」の人が対象なので、「公に」には該当しませんが、ゲームバーの場合、バーの客は「不特定」ですから、たとえプレーをしている人が数人という少数であっても、「公衆」にあたります。
 同様に、たとえば、文化祭で数十人〜数百人に対戦を見せるなら、その学校の学生に「特定」されていても「多数」になり、「公衆」に該当します。
 なお、ちょっと話がそれますが、サッカーの試合中継などを飲食店で視聴させる場合、38条3項の「放送され、又は有線放送される著作物(放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む。)は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。」に該当するかどうかが問題となります。
 「本日ワールドカップ決勝放映」と店頭に掲示する客寄せは「営利を目的とせず」ののか、店内のモニターはどの程度の大きさまでが「通常の家庭用受信装置」なのか、という点に注意しなければなりません。
3.テコンV判決
 韓国で1970年代に子供たちが熱狂したアニメ「ロボット・テコンV」。長い間日本の人気アニメ「マジンガーZ」のぱくり、というありがたくない代名詞を日本のファンからもらってきたが、ソウル中央地裁は最近「テコンVはマジンガーZの模倣ではない」との判断を下した。
 地裁関係者によれば、テコンVによく似た玩具を製造、販売した業者を株式会社「ロボット・テコンV」が著作権侵害で訴えた訴訟で、この判断が示された。
 訴えられた業者側は「テコンVはマジンガーZやグレートマジンガーの模倣だから著作権保護の対象にならない」と主張していた。
 これに対し地裁は、胸部の赤い板状の部分が分離したマジンガーZに比べ、テコンVは分離していないV字形だと指摘。「外観上、マジンガーZと明確な違いがある」と退けた。また、「テコンVはテコンドーを採り入れており、日本文化に基づいたマジンガーZのキャラクターと違いがある」とも説明した。
 ただ、テコンVの生みの親、金青基(キムチョンギ)監督は朝日新聞の取材に「マジンガーZに影響を受けたのは事実」と証言したことがある。ロボットアニメを作ろうとしたが、当時は資料が全くないうえ、作画用の色の種類が少なく、白と黒を多く使った、などと説明していた。(朝日新聞2018年8月1日・下の写真も同様)
 両者の類似点として挙げられたことの一つが、操縦者の乗り込み方法です。
 マジンガーZは、操縦用垂直離着陸機パイルダーがZの頭部に合体して、そのままコクピットとなりました。
 それに対しテコンVでは、単独飛行可能な飛行艇・ツバメ号が頭部に合体し、メインパイロット席が本体内部に下降します。
 しかしこれは「設定」であり、「アイディア」に過ぎないので、著作権法の保護対象ではありません。
 問題は「美術の著作物」としての、テコンVの造形です。
 個人的には、ソウル地裁はちょっと踏み込みすぎているように感じます。
 韓国の著作権法でも、5条に以下のように定めています。
(1) 原著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映像製作又はその他の方法により作成した創作物(以下、「二次的著作物」という。)は、独立した著作物として保護される。
(2) 二次的著作物の保護は、その原著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。
 デッドコピーでない場合、独自の著作物といえるほどの創作性を備えた場合と、そこまでの創作性を備えていない二次的著作物にとどまる場合があるのですが、二次的著作物といえども、「独立した著作物として保護される」と規定されているのですから、デッドコピーではないという明白な事実をもとに、保護してあげればよかったと思います。
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