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お知らせ

2017-10-11
■ 政党名と商標−第三者が登録を受けることができるか−

 商標権とは、登録商標の「指定商品又は指定役務」と同一の「商品又は役務」に、「登録商標」と同一の「商標」を「使用」することができるとともに、登録商標の「指定商品又は指定役務」と同一又は類似の「商品又は役務」に、「登録商標」と同一又は類似の「商標」を「使用」することを禁止することができる権利です。

 先般報道があった通り、本年10月3日に結成された「立憲民主党」の名称が、例のベストライセンス株式会社によって商標登録出願されていました。

 この件について、経緯と今後の展開予想について、簡単に述べることにします。

1.ベストライセンス株式会社の出願経緯
(1) 出願は、いつされたのか
 多くの報道では、本年2月に出願されていたとされています。
 しかし、これは分割の第3世代であり、元々の出願は、さらにさかのぼってされています。
 最初の出願は、昨年の2月でした。
 以下、カッコ内は出願日です。
@商願2016-020017 (平28.2.25)
 この出願については、却下済となっています。
 例によって、出願費を納付せずに出願していたためと思われます。
 ちなみに、この出願時期は、民主党と維新の党の合併協議がされていた時期です。
 却下前に、出願延命のために、出願を分割して、新たな出願をしています。
A商標 2016-108145 (平28.10.5)
 この出願についても、却下済となっています。
 そして、やはり却下前に、出願延命のために、出願を分割して、新たな出願をしています。
B商標 2017-024072 (平29.2.24)
 この出願については、却下は確定していませんが、却下処分前通知が8月16日に再送されています。
 そして、やはり却下前に、出願延命のために、出願を分割して、新たな出願をしています。
C商標 2017-113468 (平29.8.27)
 いつものように出願費用を納付していなければ、そろそろ最初の却下理由通知が発送されている頃です。
(2) 出願の適法性
 分割出願は、以下の3つの要件を満たさなければ、適法とは認められません。
a 原出願が二以上の商品等を指定商品等としていること
b 原出願の一部を新たな出願としたこと
 @) 分割出願の指定商品等が原出願の指定商品等の全部でないこと
 A) 分割出願の指定商品等が原出願の指定商品等に含まれていること
c 原出願に係る商標と分割出願に係る商標とが同一であること
 適法な分割であれば、新たな出願の出願日は、元の出願の出願日に遡ります。
 要件aとcについては、すべての分割出願において、問題ありません。
 問題はbです。
 @→Aの分割において、b@)の要件を満たさず、指定商品・役務のすべてを新たな出願としています。
 したがって、新たな出願には、出願日の遡及効が働かず、実際の出願日に出願されたものと扱われます。
 そして、A→B、B→Cについても、同様にb@)の要件を満たさず、指定商品・役務のすべてを新たな出願としています。
 Bの処分が確定せず、また、Cにおいて、指定商品・役務の削除補正が可能なことから、今のところCの出願日は、A出願日(平28.10.5)まで遡及するものとされています。
(3) Cの取り扱い
 例によって出願費用を納付していないと思われますので、このままでは、これまでの出願と同様に、却下されます。
 しかし、実際に立憲民主党が誕生してしまったので、出願人は出願費用を納付する補正手続きをとり、また、指定商品・役務の一部を削除して、出願の遡及効を得ることが考えられます。
2.審査の行方
(1) 拒絶理由
 Cの出願委は、9類、16類、35類、41類、42類、45類の6区分商品・役務が指定されています。
 そのうち、16類を除く5つの区分について、指定商品・役務が8以上の類似群に属しています。
 この5区分については、商標の「使用意思」に疑義があるとして、拒絶理由が通知されます。
 また、政党などの非営利の公益団体で著名なものと同一・類似の商標は登録を受けることができないとされて上に、昨年3月に民主党と維新の党が合併した時に「立 憲民主党」という党名が候補に挙がっている経緯もありますので、公序良俗違反の拒絶理由が適用される可能性もあります。
(2) 拒絶理由解消の可能性
 使用意思についての拒絶理由を解消するためには、指定商品・役務を削除するか、すべての指定商品・役務について、使用する事業計画があることを証明する必要があります。
 煩雑な作業が必要となる可能性がありますが、不可能ではありません。
 しかし、公益団体の著名名称との類似や、公序良俗違反については、解消はほぼ不可能と考えてよいと思います。
3.余談
 仮に登録を受けることができた場合、立憲民主党が透明を印刷したパンフレットなどを制作・配布した場合に、配布の差止め、損害賠償の請求がなされることもあります。
 仮に最初の出願で、商標権を獲得することができていれば、公益団体の著名名称との類似や、公序良俗違反では、事後的に無効にはできないので、商標権を活用(悪用)することができたかもしれません。
 ただ、ベストライセンス株式会社のような、下手な鉄砲を数打つやり方で、もし初めから出願費用を納付していたら、お金がいくらあっても足りません。
 1商標1区分の出願で、12,000円かかりますから。
 そして、今からCの出願費用を納付しても、すでに公益団体の著名名称との類似は成立してしまった、と考えてよいでしょう。
 会社や団体の名称を決める前には、同一・類似の商標の存在を調査して、リスク回避をしなければなりませんが、今回の結党は急なものだったので、そんな余裕がなかったことは言うまでもありません。
 そこで、直接関係はありませんが、今年2月に「希望の党」を出願し、9月に登録を受けていた小池百合子氏のいろいろな意味での用意周到さが、いっそう際立つこととなりました。
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